きみが夢をみているあいだ/はるな
 

きみが夢をみているあいだ
僕は街中のあかりを消してまわる
きみがジェラートを食べているあいだ
僕は南のほうから暖かい風をつれてくる
きみが泣いて泣いて濡れているあいだ
僕はあたらしいハンカチにアイロンをかける
きみが疲れて眠っているあいだ
僕はその枕もとに落ちる音の角をまるめてる
きみが恋をしているあいだ
僕は
僕は目をとじている
僕は耳をふさいでいる、僕は息をとめている。
きみが恋をしているあいだ
僕は世界からいなくなる
そうしてきみが恋を終えて帰ってきたときに
僕は透明の体に息をしはじめる


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