すべては無意味/アラン・マッケル=作/中田満帆
初出『パーシー・アカデミー』誌 1963年 12月号
クウォーター・パークの酒場でめずらしく呑んでいた
かれは室でしか呑まない男だった
もう若くない顔で時折
笑うそぶりを見せる
その口もとは
神経がやられたようにゆがんでさえいた
かれはいった、「すべては無意味なのかも知れない」と
そしてつけ足した、「ぼくの父がいったように」
最後に話の目的を明かした「もし金にならなければ」
職探しにあぶれ、
救済支援も打ち切られ、
せっかくの長篇小説もモノにならなかったという、
そして長い電話のすえに父にそう宣告されたとのことらしい
クォー
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