青虫/木屋 亞万
 
破ることができたら、先はしゃりしゃりとしてとても食べやすくできていました。ぺこぺこだったお腹にしみ込んでいく甘いあまい汁が、その細長い体のすみずみまで染みわたっていくのを感じました。
 それでも、気がつけばまたお腹はペコペコに空いているのです。

 火曜日、なしを二つ食べました。
 はじめはおかしな色のリンゴだと思っていましたが、りんごよりも果肉が柔らかくシャリシャリとした粒を感じました。りんごとはまたちがった秋の日の空のようなさわやかな風が青虫の身体を駆け抜けました。なしを二つ食べ終わっても、育ちゆく青虫の身体はあっという間にそれを消化してしまいます。気づくとまた、お腹はぺこぺこになって
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