夜明け前の雷雨/山人
 
処できた。よって、目的の場所まで刈りすすめることができたのである。予定としてはあと二日の行程だが、その間、家業もしながら且つ勤務にもそこそこ出勤しながらという形態をとらざるを得ない。
 なんとなくだが、老体はそろそろ引退しろという圧力を感じている。たしかに、六十六歳の老人が単独で刈払い機を振り回し、山岳を除草するなど普通は考えつかない絵面だろう。まったく老いたことに気がつかぬまま年月を過ごしてしまった。そして恥じ入っている。そこまでして、しかし、日銭を得たいのだ。
 死ぬまで働かないと生きてゆけない時代が来ると言われている。それがわかっているからこそ、酒煙草を絶ち体重も一〇キロ落とした。しかし
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