父が自称詩人だった/花形新次
 
父が自称詩人だった
母が泣きながら
私に告白した
結婚する前から
ずっとだと言った
長年我慢して来たけれど
もう限界だと崩れ落ちた
私は薄々そうなのでは
ないかと思っていた
しかし直接聞こうとは思わなかった
もし聞いてしまったら
本当に自称詩人だったら
世間に知られる前に
私の手で何とかしなければならない
その思いが私を躊躇させた
だが、父は紛れもなく自称詩人だった
知ってしまった以上
もうやるしかない
決行するのは今夜
父が自称詩を投稿している
まさにその時だ
父の血飛沫がモニターの自称詩を
赤く染めるとき
私達家族に真の平安が訪れる
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