ことことことでん/そらの珊瑚
 
さとの東海道線の駅から4つめの駅で降り
こどもの頃家族で時々行った小さな遊園地の
一周ぐるっと走るおさるの電車
先頭には本物の猿がちょこんと座っていた
まるで自ら運転しているかのような
(実際猿はそう思っていたかもしれない)
凛々しい猿の後ろ姿を見ながら
よそいきの服の少女は小さな旅を楽しんだ
その猿も遊園地も今は失われたけれど
こうやって戻ってくることもある

出発駅は到着駅
おかえりなさい
いつかのわたし

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