皮目/長束静樹
この街ではモデルガンでさえ
傷つけるために作られてない
なのに痛みを確かめることのできない傷が
殴り・殴られもしないのに
おれの皮に無数についているのは何故
そして誰も知ることがないこととしては
街に最も多くあるのは鏡だということ
全ての辻に立ち塞がる道路反射鏡や
ぬるく風を切る車両のフロント・バック、ミラー
ウインドウという名のウインドウ
しかし
おのれのひかりを他人の目に照射し
無限にイメジであろうとするのは
おれたちだけなのだ
得られたものといえばマイナスの気配にすぎず
おれたちはそれをウインナーのように薄い皮に包み
義人ぶる自分のひかりに半永遠に傷ついている
戻る 編 削 Point(4)