お彼岸/そらの珊瑚
 
小さく咲いたバラは
小さく散っていく
はなびらは
真新しいももいろの紙石鹸みたいに
つややかなのに
一度も泡になることもかなわず
埋葬されないいのちだったもの
うつし世に迷い込んだ
黒いアゲハチョウが
熱風にさらされ
なにかいいたげに
うつらうつら
わたしのあとをついてくる

この夏はいつ終わるのだろう
片身くらいは終わってるのだろうか
やわらかくほどけかかった氷を噛む

ふるさとの森
あまたのこもれびは
空からやってきた飛び石
片足で飛んで踏む 
また飛んで
     踏む
そうやって
わたしもあとをついていく
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