海辺にて/ヒロセマコト
 
天国も地獄も信じてはいないが
死んだらやはりどこかに行きたい
煙になって消えるだけでは
あまりにもさみしいから

海の見えるところに行きたい
サーフィンにも水上バイクにも
磯釣りにも興味がない
ただ美しい海がそこにあればそれでいい

潮騒に混じって
高くそびえるワシントニアパームの
囁くような葉擦れの音を聞きたい

のどかな声で鳴きながら
ゆっくりと空に輪を描くトビ
そこから私が見えるかい

はるか高みからの眺め
大きな翼に
ちっぽけな私の魂を乗せて

ふと振り返ると
先に旅立った愛犬たちが
後を追いかけてくる

一緒に行こう
波打ち際で遊んだ
あの海辺に

私はまた
ここに帰ってきたんだ

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