咲花とかえで/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
かあ。じゃかえで先輩、待ってますよ!」
咲花はそう言うと、グラウンドのベンチへと走っていった。
「……相変わらず元気だなあ。まあ、とにかく練習しないとね」
ひとりつぶやくと、かえでは場内の更衣室に向かった。
夕暮れまでにまだ少し時間がある時、森下郁子はネット口座にある残高を見つめると、少しためいきをついた。
娘であるかえでのことだ。
森下家はごく普通の家庭で、夫の年収であれば、通常なら心配はなかった。しかし気がかりは娘の今後のことだった。
普通の子供のように塾に行かせるだけならわけはなかった。しかしかえでが野球で身を立てたいであろうことは、毎日クラブから帰ってもすぐに
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