思い出は語られるためにある/岡部淳太郎
ことに忘却はすべての死者に等しく訪れる宿命であるのだ。それでも、特定の人物について記憶する者がいる限り、その思い出を語るのが誠実な態度であるのは間違いないだろう。
choriくんは39歳。今年40歳になるはずだったと言う。ということは、今年57歳の僕からは17歳も若いということになる。それを思うとあらためて茫然とする。死ぬにはあまりにも若すぎる。そういえば、choriくんには悪い噂を聞かない。そのあまりに自由すぎる生き方が揶揄ぎみに語られることはあっても、彼について叩くような人も見なかった。そのへんはchoriくんの人徳であるのだろう。正直、僕が死ぬ時にこんなに多くの人から惜しまれ語られる自信
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)