もぐら/soft_machine
もぐら掘る掘る
命みじかい始原菌に鎧われて掘る
太陽を感じる見えなくったって
もうすぐ夕暮れ土の中が一番熱くなる時刻
頂点は一瞬だけど
その前後の緩やかな丘に沿って掘る
青いトンネルいっぱい足音響かせて
無駄なく素早く心地よく掘る
鼻が知らせる鼻から伸びた髭が察知する
繊細な尖端が近い将来の襲撃を予告する
それは猫かも知れない鴉かも知れない
それとも硬いスコップだろうか
水ではないな
水ならとっくに気配が充ちてる
水は怖いよ何よりも怖いから
急上昇しろ!
グズグズするな!
けれどついつい立ち止まってしまって危うくなる
土の竜だよ
秋の雨に溺れる精だ
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