拝啓 小さな友へ/由木名緒美
拝啓
小さな友
君の立ち振る舞いや
雰囲気が
子供の頃の幻に重なり
胸騒ぎを覚える
過剰なところや
たやすく折れる心
ささいなことで流す涙は
もっともっと深いところ
人間の根源から溢れてくるようで
それが
君の
仲間内のささいな役割ならばまだいいのだけれど
君が
君が背負った宿命が
あまりに深くて冷たいのなら
私自身の過去を参照し
その未来が
ただ穏やかであればと
祈るばかり
君が
その青写真を克明に描いて
ちいさな姿で
おりてきたのなら
君の
その魂に
心からの敬意を持つことでしか
頭を垂れることでしか
小さな勇者の従者になれない
君が
君が大人になった時
何も言えないけれど
すべてはきっと
かするみたいな髪の撫で方で
君が気づいてくれますようにと
祈っている
私が振り返る過去は
君の未来に役立つだろうか
君に
幸あれと
目を逸らさずに見守りたいと
年老いた私は
想うばかり
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