ある日の叔母のこと/朧月夜
 
きりと陽性でした。祖母が晩年、入院して死の床に就いていたとき、母は毎日病院に通っていた。叔母が時間を見つけて、祖母のもとを訪ねたところ、母が「あなたは来なくって良いのよ?」と。それにたいして「ネエちゃんだけの母ちゃんじゃないだろ!」と叔母はぶち切れたらしい。

 そんな叔母……母が生きていたあいだは、「このごろは何もしないのよ。夜中に起きたらお線香あげて、朝になるころには何もかも済ませてしまって」と、外出などはほとんどしないものの、体が悪いというそぶりは見せなかったし、見えなかった。母の一周忌のさい、一年前とは打って変って歩行器がなければ歩けなくなっており……急な変化にわたしは驚きました。

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