ある日の叔母のこと/朧月夜
 
れはいつも既製品ばかりで、叔母の作った料理を口にするのは、これが初めてだったかもしれません。「作ってあげた」みたいに見られるのが、たぶん叔母は嫌いだったのだろうと思います。

 まだ雨が降り続いていて、(今は午前2時)父が今晩は早くも三度めのトイレに立ちました。いつもより多いです。……「いっぱい作っていったんだ」と、父は叔母の漬けていった浅漬けのことを言い(わたしは食べたあとで聞いた)、「お前、唐黍(とうきび)か西瓜、食わねが? (叔母が)半分だけ食べていったんだ。俺が食うと、トイレ行くから……」

「いや……食べない」わたしは、二十代のころからほとんど果物を食べなくなっていて、ここ最近は野菜もほとんど口にしていないのですが、なにかの予感があったのか……。叔母が作っていった、浅漬けの繊細な味付けは、たぶん忘れないような気がします。──夏の暑さは、まだ続いています。
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