ある日の叔母のこと/朧月夜
スは買えたものの、今度は帰り道が分からず……よく帰りつけたなと思います。
やっと叔母のマンションを見つけたものの、わたしは部屋番号なども聞かされておらず、記憶を頼りに心当たりの部屋をノックして……叔母が驚いたように出てきましたが、わたしは「お店、全然なかったの……」「そんなに遠くまで行ったの?」などと。母との内密の話はすでに済んでいたらしい。母のことだから、「水商売は辞めなさい」とか、そういう冷たい話をしたのだろうと思う。
──突然の来訪にも気づかなかったくらい、叔母はすぐに帰って行ったのですが、父が「〇〇叔母ちゃんが、今日来てな、お金貸してくれって……」「えっ?」叔母は決してお金
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)