タイトルを持たない、/パンジーの切先(ハツ)
 
り返され、飲み物は食前にということになり、店員は喧騒のなかへ去っていく。
 私たちには、いよいよ話すことがなくなり、ただお互いのドリンクを心待ちにするよりなかった。それから少しして、おろおろとしながら、学生のような店員が、ドリンクを盆に載せてこちらへきた。私は、お手拭きや水の入ったグラスを壁際に寄せる。店員はにっこりして、何かの確信の下の行為なのか、ウーロン茶を母、オレンジジュースを私に提供して、消えていった。私は黙って、オレンジジュースのグラスを母の方へ押しやり、代わりにウーロン茶をとった。いやだわ、ああいうの、という自身の発したひと言が、トリガーとなったように母は、彼女を苛立たせるあらゆる物
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