白水/田井英祐
し、何時か炎を絶やしてしまう私のような破滅者としか、生きていけぬような煤に汚れた身体の女達なのだった。
私は、情欲や衝動をぶつけるのにマトモな生活者であった時から蛾を使っていたが、彼女達が燃えて炎を上げる紙幣に身も心も黒く焦がしていくのとは逆に、真っ白く燃え尽きていくのだった。
私は金を使うことによって己が漂白されていくのを感じていた。蛾達の丸丸と太った肉体を抱く代りに蛾達にいいようにされる。蛾達から与えられる過剰な快楽のために、身体から己が遊離していくことが分かった。
蛾達を輝かせるために紙幣を燃やして、流れてきた煙に巻かれることによって紙幣の匂いを纏う。私の匂いではなくなった匂い。
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