白水/田井英祐
愛の臭さを得るために、愛す事が出来る真っ白なおもちゃが欲しい。私の汚れ匂いを臭い汚いと言ってくれるような真っ白なおもちゃが欲しい。
「私そういう子知ってるわ」
「誰だい?」
「わ・た・し」
薄明りの籠るホテルの部屋にあるベットから突き飛ばされ落ちた女は、月光に照らされ身体半分を芋虫のようにくの字に折り曲げてゲラゲラと悶えるように笑った。女が身もだえ笑うと身体が捻じれ、捻じれた腹の脂肪に幾重も線が巻かれるように刻まれた。その白い肉の塊の凄味と気味の悪さ。わたしは吐き気と欲情を覚え目が眩む。
女は白い肉付きのよい体を少し波立たせて起き上ると、私の背中を抱きしめた。女の匂いのし
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