幸福論/田井英祐
回す。
「ユウ君、お刺身食べようよ」
「んーん」
ユウは私の腿に腰をおろし体をぴったり寄せつけ両手両足でしがみつこうとする。お腹にユウの腰骨があたり脇腹をほっそりした足がしめつけて少し痛い。私のお腹にぴったりとくっついたユウをしがみつかせたまま立ち上がるとマチコがきゃっきゃっと声を上げる。
「ユウニイ、コアラみたい」
そのまま前かがみになってテーブルにお刺身を置こうとするとユウの足に力が入って脇腹の痛みがます。テーブルに置かれた大皿を見たマチコは「わあ」「お頭もついてる」「すごい」と言いにんまり顔。
「武田のおじさまからもらったの。今度お礼をいいましょう」
「うん、まちこ武田のお
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