僕らに告ぐ/森 真察人
 
全時空の僕は開眼したまえ全て雨粒は矢たとい母と姦淫(かんいん)しようとも一向に矢は止まぬ一つの悲劇につき作る詩は三編までとせよ。両の目を刳(く)り抜こうとも生まれながら両の踵(かかと)が不具(ふぐ)であろうとも矢は降る全時空の僕は不具者だ。たといコミュニストの脳とファシストの脳とを同じ頭蓋骨に詰め電流を流そうとも僕が猿の頃にモノリスに触れたあの瞬間から(或(ある)いは開闢(かいびゃく)の瞬間から)全存在は他者にとって不具であることを諒解したまえ。悪魔?(あくま)と闘おう! 然(しか)し殺してはならぬ! それは僕にはキリンの姿に見えるけれども四十万年前
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