『万人鉱物-コモン君の悪夢』 2023年改稿版/田井英祐
 
燃える水田の稲穂を前に
たたずむお前の
横にいる
黒光りをしている万水鉱物
私の立っている場所から
そいつの顔は見えない
あなたはそいつに微笑みかける
私に解らぬ言葉を開きながら
私はあなたとそいつの勾引しあうリズムの間隙に
あなたに向かって信号を送るーーー
ーーー失われた言葉を軸にして
あなたは私に向かって微笑みかけるーーー
ーーー自明の言葉で閉ざしながら
私とあなたとの間に立ちはだかる田泥化芽罹厭
私はー言葉を、私の言葉を矛に変え
それに挑みかかる
あなたを求めて
切り裂いた蔓たちから噴き出る
薄緑の用水に包まれた自明の言葉
万水鉱物
私はそれを、私は纏
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