メモ/はるな
 

そうしてわたしもその3世代か4世代かを繰り返す甲虫みたいな恋をしては、それを死なせたり、どこかへ放ったり、箱に入れて育てたりしました。何もかももとに戻ってしまった、と思うことがある。

もちろんそれは正しくない、時間はちゃんと経っているから。
むすめだってそこに居て伸びていくし、夫も、わたしも、時間のぶん年齢を重ねたし、まわりの街や人々も育ったり壊れたりあたらしく生まれたりした。

いくつもの街で過ごしてきたから。
いいわけじみて、そう思います。
どの街にいるのかわからなくなるときがある。籍をいれてすぐのときにいたのは明石で、駅前にドーナツ屋さんがあった。そこで買ってもらったばかり
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