sister's side/mizunomadoka
 

幼い頃から私は
ガラクタ集めが趣味の父に連れられ
世界中を回った
楽しいことなんてなかった
とは言えないけど
概ねひどい生活だった

カステポー空港からバスを乗り継ぎ
見覚えのない街で降りる
父の日誌で住所を確認し
まだ雪の残る楡の並木を歩く
財布には20ドルそれだけ

呼び鈴は鳴らず
ドアを叩いても反応はない
カーテンで見えない
キーリングの鍵はどれも合わず
しょうがないので
裏手の目立たない窓を割って中に入った

父と母それに妹と私が暮らしてた家
らしい
今は廃墟になっている
私には記憶がないから分からない
蛇口をひねると赤黒い水が出る
ないよりましか
錆ごと飲み込んで
ベッドの骨組みに寝袋を広げて寝る

時計塔の機械室で目が覚めた
眠る場所で変わるのか?
黒衣の男が問う
メダリオンはどこだ?






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