滅紫雲の揺籃/あらい
滅紫雲の揺籃(ようらん)
方法の片を退く背中は痛いのか、痒いのかもわからない。ヒレのとろびが従うばかりに 目頭はあつくあった。またあんまり綺麗で、握りしめて確かに黒。外海を触(ふ)れる、捉えられる、とはいえ。また妙におずおずと正面に堕ろした。ぴちょん。ちょんと横向きにある、光量は一変する。そして散りばめた浅い小魚の、捕まえていたものもはっきりとはしない みな窶れた手紙が閉じたまま。隙に与え、乳房を含ませるその怪異の、引き返す軌道に射す
ほおを手のひらで支え、その事の起こりを、火照るような彼方なりのヤイバとして、慌ただしく過ぎる背景を少しばかり切り取り配置した。じっと見渡せば。採
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