悪魔/soft_machine
 
悪魔がおった

まだ動ける洗濯機や朝日の凧や風に舞うはずれ馬券
潮溜まりでたゆたう割れた鏡の反射裡に

悪魔がおった

夢にも愛にも解決されない憎しみや
みなし子らが消えてしまう足波に

悪魔がおった

おってちょっとひと休みしませんかといざなうのは
誰もが平等な岸辺
そして退屈など来ようはずもない美の園

それでも悪魔は地団駄を踏みならす
傷めた片翼を探しているのだと歯を食いしばり
割れた爪先で
突き刺す星図をかがやかせ
本音で帰られる棲家を訪ね

「ここはわたくしの食堂でしょうか」
「ここもわたくしの巣箱でしょうか」
「これが光れるわたくしの片腹の墓碑でしょうか」

悪魔がおって

ぱたぱた飛んでった
砂場で踏みにじられた尻尾の踊りが
すな浜に文字をぴくぴく記そうとする




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