悪魔/soft_machine
悪魔がおった
まだ動ける洗濯機や朝日の凧や風に舞うはずれ馬券
潮溜まりでたゆたう割れた鏡の反射裡に
悪魔がおった
夢にも愛にも解決されない憎しみや
みなし子らが消えてしまう足波に
悪魔がおった
おってちょっとひと休みしませんかといざなうのは
誰もが平等な岸辺
そして退屈など来ようはずもない美の園
それでも悪魔は地団駄を踏みならす
傷めた片翼を探しているのだと歯を食いしばり
割れた爪先で
突き刺す星図をかがやかせ
本音で帰られる棲家を訪ね
「ここはわたくしの食堂でしょうか」
「ここもわたくしの巣箱でしょうか」
「これが光れるわたくしの片腹の墓碑でしょうか」
悪魔がおって
ぱたぱた飛んでった
砂場で踏みにじられた尻尾の踊りが
すな浜に文字をぴくぴく記そうとする
戻る 編 削 Point(6)