allegory/あらい
シャッターの奥では、どんな夢を見ているのか。海も川も薄く、流れもゆるく凪いているように見えるのに。存在を消した爪の先までイバラ、締め上げて這いずり回る時の鎖を断ち切る。右寄りの心臓は判別不能な燈し火に近くあり。語る内容もない。雑音じみた大きな風の音が、すべてをかき消すよう
おなじ対岸の野球場の、まだ早い夜風は生ぬるく受け止める。私も世界も夕暮れに喰われ。帳に遮られ、何も感じなくなる。ライトの消えた商店街。嘘つきの表情を重ねたドキュメンタリー。そっと死んでいく栄華のようでありたい
雪が降り止まないから廃荘に息づいてしまう。レタッチされたフォトを懐う、濁した言葉がカラダを創り出す。独りぼっちに架せられてやがて夜に染まうのだ。いつかの幼児の泣き声が、黴の生えた木のせいだと風に煽られて。倒れそうで折れない、今に黄昏にそのまま焼け落ちてしまえばきっと、やさしい記憶に生まれ変われる気がする
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