パズル/soft_machine
 
十人は十色で
数百の紙片が散らばる居間に
佇む私の家族には
血の繋がりを感じさせない何かしらがある
ブランコ技師である父の手は取り外し可能で
今晩も女の胸に爪を立てているはずだ
瓶づめのままシンクから指示を飛ばすのが母
瓶の内襞に染みついた酒精臭そのまま
ラのオクターブだけの世界を指揮する
兄にいたっては砂である
私の体内をざらざら移動して暮らすのだ
直径0.33ミリの流動体が
管を圧迫し
繊維を引裂き
百ある骨すべての核を従属下においた
その痛みと愉悦
その困惑と自失
絶望と絶望と絶望によってなる
私は私を次々と複製しはじめる
用途ごとにA私とB私が協議し
状況により凸私と凹私が共闘し
展開次第でわたしとワタシが我壊した




戻る   Point(3)