祈り/中沢人鳥
 
爆散する
流れ星が青いなんて知らなかった
一瞬の朝をもたらすなんて知らなかった
願い事は明るいところでしか叶わないという疑念が
確信に変わってしまった
ある極夜が明けることは
反対側の誰かの気まぐれの祈りが
季節風に乗ってくるからか
夜の中に閉じている人の寂しさは
明け方のキジバトの声に取って代わられる
洞窟の暗がりを照らす松明は
酸素を材料に我々の願いを聞いてくれる
映る影が真実でないとしても
それを信じるしかもう
息は続かない

爆発する
一瞬の閃光
こめられる祈り
届くまもなく熱に飲まれて
偏西風に乗って
反対側の知らない誰かの
灯火になる

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