crackの踵、鎮座するうららかな痺れ/あらい
たとえば手摺と鍵、或いは爪を噛む白い手が、古雑誌の栞の意味を摘む、この誰かの肉声は(あわくって。)ならそれで適当な木目地を愛で謎るだけで、高い空を遠い道程を走りまわる短い風だ。
Sonosheet(赫ヰアルバム)に熨せた旅愁のひとつだ。
聴いたか? 手がかりひとつなく途方もなくナマイキな口を叩く脆そうな開花に。いまを染上げる落陽は秒のひとつもパッと膨らんだとして、またぽっかりとあいた水辺として、ぱしゃんとほとばしり、ひそやかに手放すまえにある
――ああ、いまにして瞳は観覧車を 足取りは終列車よぅ
切り揃えられた静謐に絡みついた夜に、苹果は体を丸め自虐の砂礫に
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