偶然と ことば/soft_machine
花のことばを受けとった
これで こころは繋がるだろうか
明るいからひらいたよ 暗くなってとじた
思えば散ってしまうから
窓のこちらに棲んでいる
冴えた夢 透けはじめる頃
言いかさねるおはよう
やわらかさだけが纏えるにおい 傘ごしにながめ
ひろいすな浜で やせたマストが
弱ったけもののように揺れている
ただ息して 消えてしまわぬよう
ことばを食べいきのびる今
港の底で目ざめたいきものが
ゆっくり崩れかかる 月の骨に群れるたましいと
それをついばむ仔蟹たち
赤をます雨
黒がさす海
誰かの青白い記憶は
半分が光に晒されていて
あとの半分 闇のなか
風はあらゆる向きを従え
時に 気づかないほどそっと
時に 力いっぱいつつむ
あなたからのことばが届いて
伝わるだろうか 時をえて
足りるだろうか 文字の裏から いつか
潜ませたやいばが
切りひらくこころであふれて
鳥の陰がくぐり抜け
草々は一層かがやく
まだ見たことのないことばを受けとって
今をささやく いくつもの偶然
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