(n((o),(w)),)(h)ere)詩人はきっといつか詩を書けなくなる/竜門勇気
 
ったのをみた。
抜け毛と、足に刺さった鋭い爪と、小さな指の骨と、焼かれた爪が
同じアクリルのケースに入っている。
まだ、小さな陶器に入ったすべての骨も部屋にある。小さな祭壇の上に。
小さな祭壇の上に、すべてがある。存在のすべてが。
けど感じる。冷蔵庫の上、出窓のカーテンの向こう
階段を上がる布でできた水滴が落ちるような足音、膝の上の暖かさ。
とても強く感じる。幻覚だとわかっているのに。
何がそれを見せているか考えて、ぼくはそれを受け入れた。
もしも、誰にも見えない猫が見えてしまったとしても、受け入れる。そうする。
たとえ、それがどんなに世界を不幸にするとしても、そうする。

[次のページ]
戻る   Point(5)