北へ・・・/soft_machine
 
歩いて、北へ
指ぜんぶ開いて 靴と歌おう
古い道 塗り替えられもせず
重ねられた ペンキ文字なぞるように

歩いて、北へ
ひと足ごとに 風向きが変わる
風は現われ 時々 私を透明にする
鏡のベンチで燃える落ち葉が
空に繋がっていて 見あげて呟く
進むほど深まる静寂 憧れ ため息
だんだん近づいてくる
冷たい悦びと鋭い純青

(それは たぶん月のせい)

(それは たぶん鳥のため)

歩いて、北へ
バス群 トラック網 電飾管
長時間バイト勧誘 言だまり
樵がたたきつける斧 散らばる細胞片
かつて人間を押し込めた 空っぽの貨車に乗って
燃やされた都市の 陶
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