明日のエレジー/
ヒロセマコト
傘を持たない私たち
雨の止み間に家を出て
降られぬうちに用事を済ませ
日暮れの前に横になる
電気はとうに届いておらず
夕闇のなか汲み置きの
水で身体を清めても
日々の不安は拭えない
灯りもテレビもない夜は
遠くの田んぼや草むらの
カエルの声がよく響く
原発がみな吹き飛んで
燃やす油も底をつく
明日は何を燃やそうか
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