旅人/由木名緒美
 
譜面のない尺八を聴かせてくれる

汚れたブラウスの女の子が
三つ編みの長い髪を怪しげにふって
かばん一つで四国を歩く

魅力的な人間は美しくても貧しくても
神々しいものだ

私の瞳に問う
あなたは美しいか
あなたの使命はなにか

迷子の私は途方に暮れてしまう

世界で一番美しいものはなに?

それは、己の道を知っている
歩みたい道を歩む人だけが持つ
世界でただ二つだけの瞳の
迷いない輝きが宿る瞳孔の
強くて柔い意志の清々しさだ

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