眩暈する春の夜/積 緋露雪00
 
吾をぐるりと取り巻く世界は吾を締め付けながら
その憤怒の一端を晴らし
吾は苦しさに顔面蒼白となり、
眩暈と共に矢鱈に息苦しいのです。
空間と相容れられない吾は
何時も息苦しいのです。
金魚の口と同じく
吾は何時も大口を開けてゼイゼイと呼吸をしてゐるのですが、
それが世界にはをかしいらしく、
眩暈のする吾は
金魚の色を纏ひ
口をパクパクと呼吸をするのです。

――ああ、哀しさが零れ落ちるとき、吾は眩暈でぶっ倒れます。
そのとき、世界は蔑みの目で吾を見下し
吾はといふと
畳の目の歪むのをぢっと見てゐるのです。
何が哀しいかといふと
吾が存在するのが夙に哀しいのです。

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