眩暈する春の夜/積 緋露雪00
 
薄霧にぼんやりと月照る春の夜に、
哀しい風が吹きまする。
木木はカサカサと噎び泣き
昼間啼いてゐた鶯は
既に眠りについたのか、
沈黙したまま
風の吹き荒ぶ音ばかりがするのです。
吾が心はその哀しさに押し潰されて
おいおいと泣いてゐます。
吾が心の哀しさに理由何ぞはなく、
唯唯、哀しいのです。
ぢっと坐しても
眩暈がする吾は
哀しいながらもそれを楽しみ
ゆらゆらと世界は揺れるのです。
そもそも世界は揺れてゐるもので
それは世界が瞬く時を知らず
ずっと目を見開き
神に抗ふ憤怒に赤らみ
虚空に消ゆる憤怒の焔に
世界はその行く末を託してゐるのかもしれません。
吾を
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