夜の梟/
中沢人鳥
靄の籠る水面に
深緑の影が霧散する
確かに脈打つ枝と枝
不確かな夜の梟が
泣いている
曖昧な景色と
あなたが目を合わせた時
悲しくも
あなたの望みは
煙りとなって
梢の間に薄まってゆく
優しく
底なしの静けさ
月光の色に滲みる
夜の空から落ちている
梟の声が響いている
戻る
編
削
Point
(6)