こうかいにっき。/あらい
 
のか と うたた寝しては
やらかい吹雪の煤口を縛った 明日は我が身のゆき
おおくは細いメに見えぬほどのひつじを抱く
寄せたつもりが返される丸窓の白波が透けはじめる

例えるなら袖口から覗いていた女の形、
あつかましい太陽などあるものかと摘んで捨てる
その干からびた海路ばかりの茎だ
まぶしい朝に湧いたうなじの燐粉だ
そこへ肩を寄せ合うように群集があふれる
振る舞われた花の果肉はれさぞや甘かろか


縮こまるほどの寒さを含んだ黒山羊に
抱きとめられたあれは、いつのことだったか


いま、多くは靴底で詫びている
例えば吹き込んだ都会の木蓮だ、
崩れていくだけのコウノトリだ、
それでも名も無いネズミの一つ一つに
いのちを分け与えていたあなたは
不平を垂れつつも助手席にて
ビーカーに移された逆光の意味を解きながら
水に流された上の空ごと、
キミを現実の間に握っている
泳ぎきれないわたしは、
この大海原に溺れるだけ流され尽くして

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