紅白もくれん/そらの珊瑚
 
そうな小鳥のようだった
けれどそれが羽ばたくことはなく、ちらほらと地に墜落してもいる
生と死もちゃんとある、あたりまえのようだけれど
いつもは窓からちらっと見るだけだったが、ふと間近で見てみたくなり
車を端に寄せてもくれんに近寄って見た
すると一本の樹だと思っていたのはわたしの長年の思い込みで
それはぴったりと寄り添っている紅もくれんと白もくれんの二本の樹であることを知った
ふたつの樹の枝は、上手に空を分け合い手を繋ぐように紅白の花を咲かせている
光の射さない地下では、毛細血管のように根っこが伸びていることだろう
もしかしたらもうもくれん自身でもどっちの根っこかわからないほどに
それらは絡み合い
命を支えあっていることだろう、この春もきっと


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