surely/中田満帆
だれのものでもない両手で
だれかを傷つける
呼び鈴がおれの耳に
爆発している
やり過ごすことのできない咎に身をふるわせて
やはりだれも
おれを諒解しないというところで
合点する
他人の顔に鉈を下ろして、
それでもだれに気づかれないままで終わる
きょうことはぜんぶ忘れる、だれかがいったように忘れる
それでも、おれはおれを赦せないでいるんだ
ラジオがいうんだ、──あの世は天国だって、
おれはおもうんだ、
それを地獄の住人たちに伝えてやれよって
雨のなかで待たされている多くのひとたちに伝えてやれるんだって
それがお好みの事実ならねっ
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