『夢幻空花』 一、 此の世界の中で/積 緋露雪00
 
時間を超越した存在といふことにもなると考へてみる。そんな存在に千変万化する幽霊が当て嵌まると看做せば、幽霊といふ存在はある意味時空からその存在の拘束を解かれた存在で神出鬼没に此の世に出現することになる。そして、個人的には此の世に幽霊が存在した方が断然此の世は面白いと思ってゐる。これもまた、誤謬の仮象が為せる業の一つであり、誤謬の仮象に夢中遊行する楽しみは、涯が尽きないのである。
 以上のことを踏まへて改めてこの碧い蒼穹の下の世界を眺めると、森羅万象は時間の結晶であり、世界を眺望するといふことは時空が開示されるといふことなのだ。否、ある意味、既に時空といふものからも自由な世界といふ現象が湧き立った
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