『夢幻空花』 一、 此の世界の中で/積 緋露雪00
。これはむしろ当然のことであり、くどくどと述べることではないのであるが、事、自由、若しくは自在に関すれば、それは誤謬の仮象であればこそ自由、若しくは自在が満喫できるのである。それはこんな風な具合である。恰も自由、若しくは自在は極限値が存在する無限級数の如くに振る舞ひ、その極限値を求める時にひょいと飛び越えてはならぬ閾を、つまり、それは無限なのであるが、その無限へと飛び移って極限値になるやうにして、自由、若しくは自在に事象は相転移する如く変化するのである。現実はそもそもが不合理で、不自由極まりないものである。それを掻い潜って生あるものは存在するのであるが、物理的に存在は現実に束縛されてゐるのである。
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