詩と詩人そして言葉/乾 加津也
 
たましい
 聴覚のない魂のそばで
 呪いの言葉が一つ輝く


芸術家は、生み出す表現のスタイルを眺めて
おのおののジャンルの門をくぐった
人はいう「あなたは詩を書いたから、詩人だ」
詩人は、自分をその棚に並べて、得心して
レールの上で詩を書いた


 最初から、詩が書きたかったわけではない
 死ぬ前に、生きた意味を知りたかっただけ
 喉にべったり貼りついていた言葉を
 剥がしていただけ


所詮パーソナルは、パブリックにはなり得ない
領域が、壁で意味を成すように
詩は、徒党を組んで退化するしか
公共(せけん)には戻れない


 ひとりになって
 周りで揺れる、無数の舌の上で眠った
 鱗のように固くなって
 人偏だったころの夢を見ていた


言葉が命になりたいのなら
願いは、死によって遂げられる
そもそも言葉のままでいた方が、幸せだったかもしれないなど
歩きだした以上は・・・
戻る   Point(3)