夢幻空花 一 序/積 緋露雪00
 
実なのである。そして、私は己の存在に対しても恥ずかしいからこれから書かれる思索の断片集に関して言い訳めいたことを書いて何とか己の恥辱を宥め賺してゐるのだ。さうせずば断片集なんぞ私には書けぬのだ。物を書くといふことは恥辱である。それでも闇尾超については書かれるべきなのだ。それは何故かと自身に問へば、詰まる所、存在に行き詰まった存在がどのやうにしてそれでも生を繋いでゐたのかを私自身が詳らかにしたかったからに外ならない。だが、物語は結局書けず仕舞ひで、闇尾超の思索の断片に応答する形での断片集しか書けなかった。
 然し乍ら、この断片集はいふなればどうでもいい作品で、唯単に私の自己満足のためのものに過ぎぬ
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