夢幻空花 一 序/積 緋露雪00
 
しまったのだった。それは闇尾超が強烈に埴谷雄高の影響下にあり、「不可能性の作家」に心酔してしまったためだったのかもしれぬ。闇尾超は現代は不可能性を恰も可能であるかのやうに論理をでっち上げる時代であり、不可能なものをいかに可能のやうに見せられるかの化かし合ひの時代だと思ってゐたのは確かであった。
 しかし、今はもう闇尾超は此の世にはゐない。疾うの昔に精神錯乱の上に病死し、夭折してしまったのであった。それも風の噂で知ったのであるが、闇尾超の死を知ってからといふもの私の頭からそのことは一時も離れることはなかった。それは何故なのだらうか。それは私の何処かに闇尾超に共鳴するところがあって、闇尾超に先を越さ
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