夢幻空花 一 序/積 緋露雪00
 

なんだかんだであれやこれやと思ひ悩みながらの十年以上の思索の結果、埴谷雄高の虚体では存在の尻尾すら捕まへられぬといふ結論に思ひ至った闇尾(やみを)超(まさる)は、それではオイラーの公式から導かれる虚数iのi乗が実数になるといふことを手がかりに虚体をも呑み込む何か新たな存在論が出来ぬかと思案しつつ、それを例へば虚体は存在に至るべく完全変態する昆虫の生態を模して存在の蛹のやうなものと強引に看做してしまって、闇尾超はその存在の蛹から虚体に代はり存在が完全変態して何か全く新しい何かに変態すると考へ、また、一方で、虚体の仄かにその実在を暗示する、例えば虚体がBlack(ブラック) {ル
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