スカイツリー/春日線香
半地下の車庫 ゆらめくビニール紐
秘伝のたれを足していますと口が
次のバスターミナルまで追いかける
この裏はアパホテルがあるはずの
のぼりが立っているのに風がない
畳がささくれだって声が聞こえる
トラックが過ぎてかすかに消されていた
頭だけ見えてはいるのに 2階3階
開いてもこんなものはもう読まない
改札を同じ手で触っているんだな
フィットネスジムが建つ前はなんだった
24時間営業にまた包まれる
肉とピーマンのようなものだから
もう二度と見ないレシートを折り曲げた
服を脱いで着られるまで放っておく
のど飴を噛むくらいには普通のこと
ATM待ちながら死にながら生きていた
注文を書く 店員に復唱させる
すべていりませんすべて風の中
風の中で遠くの塔を見つめていた
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