いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
 
らないってこと。じぶんたちのことを、ちっとも」
「知らないのは、茜さんのなかのじぶんの感情だよ」
「どういうこと?」
「後から気がついて、ああ、そうだったって思うの。……後から気がついて、ああ、あれは間違いだったの、なんて言わないでね」
「……」
「茜さん、目が狐になってる」
「もういいわ。理屈は嫌いになったの。ね、土曜日は用事があったんだっけ」
「うん。その後で、会おう」


 あの朝のこと。わたしたちが、じぶんたちの淋しさに気がついたあの日の朝、果林はわたしに向かってはじめてその想いをうち明けてくれた……
「茜さん、わたし茜さんのこと好きだ。でも、これはあこがれなんだと思
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