いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
 
けて聞いたんじゃないのに!」
 どんどんどん、とテーブルを叩いて、果林はアドバイザーの女性をにらみつけました。彼女には何の言われもないことだったでしょうけど。
 果林は、すばやくわたしに目を返しました。でも、反対にわたしはその人のほうに気をとられてしまっていた。
「浮気っぽい人ね」
「なんでよ」
「仕事、ここですれば?」
「ばかみたい」
 私は怒って、目を伏せました。
 わたしも果林も本気ではありませんでした。わたしは、彼女の誕生日がやってくる次の週のことを考え、果林は、じぶんがこれから始める夢のことを考えていました。
 梅雨期、それから夏もまぢかだった。
 ……
 この夏が
[次のページ]
戻る   Point(2)